本専攻は、心理学の様々な領域について充実した研究?教育体制を整えています。修士1年より積極的に研究活動を進め、修士論文の作成を目指します。それぞれの研究室は充実した実験室、設備を備えています。また、公認心理師や臨床心理士の資格取得を目指す方は、学内や学外での実習を行います。学内の心理教育相談室は、近隣のクリニックや教育機関からの紹介も多数あり、その他学外の実習先も幅広い領域に渡るよう配慮しております。院生の間に貴重な臨床体験ができることを目指しています。
われわれの研究室では心の情報処理を研究しています。記憶や注意などの基礎的な心の機能と、それらと感情のかかわりなどが主な研究トピックです。また、さまざまな心の働きが日常生活においてどのような役割を果たすか検討する日常認知という分野の研究に力を入れています。
この研究室では,ヒトの視覚機能をはじめとした感覚知覚機能を情報処理という観点から探究する考え方を学びます。感覚知覚機能は,系統発生的に考えると,あらゆる心的機能の根源的なものの一つと考えることができます。外界から得られる感覚入力情報を用いて感覚知覚系がどのように知覚像を形成しているのかの解明から,その意識化の過程,さらにはヒトのあらゆる認識の基盤過程についても探っていきます。
本研究室大学院では、ラットやマウスといった小型哺乳類やヒトを対象とした学習心理学的研究を行うことができます。動物実験設備としては、小型哺乳類の飼育設備をはじめとして学習実験に古くから用いられてきたオペラントチャンバー8台を保有しており、古典的条件づけや道具的条件づけに関する行動実験が可能です。また、学外共同研究としてウマやゾウを対象とした学習?認知実験も行っており、加速度センサや動画解析など、様々な指標を用いた学際的研究が進行中です。
この研究室では,中枢神経系における情報処理過程やその神経基盤について,生理心理学的?神経科学的手法を用いて解明する研究を行っています。ヒトを対象とする研究では,脳波や複数の生理指標を同時測定する装置により,知覚や認知の脳内処理過程の解明を目指します。動物を対象とする研究では,多細胞記録法やパッチクランプ法などの電気生理学的実験と行動実験を組み合わせて実施し,さらに薬理学的手法の適用や遺伝子改変生物を用いることにより,中枢神経系におけるニューロン集団による情報表現や,情報処理を実現する神経回路網の解明を目指しています。
小杉研究室では,心理統計を専門に研究しています。因子分析やMDSなど,探索的に用いられる多変量解析や,ベイジアンモデリングによるデータ生成メカニズムの探求などを学ぶことができます。心理学に対してこのようなアプローチの仕方もあるのか,と興味を持っていただければ幸いです。これらの技術はまた,データサイエンスと呼ばれる領域でも応用可能です。心理学に限らず,これらの技術を様々な応用場面で利用することを考えている人も,一緒に学んでいきましょう。
社会心理学研究室では、家族、友人、学校、職場などの対人関係?集団における、機能性と成員のメンタルヘルスに関する諸問題を中心に検討しています。特に個人の特性にのみ注目するのではなく、自己と対人関係?集団力動との相互規定性を研究視座において、人の社会的適応についてアプローチしています。
この研究室では,乳幼児?児童の発達について,実験心理学的な観点から研究をしています。乳幼児?児童を対象とした研究では,特に,社会的認知の発達や言語獲得の検討に力を入れています。また,養育者による乳幼児への働きかけや,乳幼児に対する大学生の認知などをテーマとして検討することも可能です。
国里研究室では、心の悩みを理解し解決する方法について探求することをテーマとしています。本研究室の特色としては、心の悩みについて認知神経科学的な側面から理解し、より良い解決方法を探ることになります。具体的には、うつの意志決定の問題に関するメカニズム研究、うつの情動制御に関するメカニズム研究、うつに対する心理療法の効果研究、恐怖条件づけの消去に関するメカニズム研究、恐怖条件づけの消去手法に関する効果研究などになります。
この研究室では、いわゆる無意識を対象とする深層心理学を学びます。無意識は意識できないことすべてなのでわからないのですが、イメージや夢にその片鱗があらわれると考えられます。また昔話や物語、神話には、人間が長い年月の間に培ってきたパターンのようなものがよく現れています。病者を理解し関わるとき、このイメージや人間の心の基本的なパターンを知っておくことが非常に役に立ちます。この研究室では、このようなテーマを研究し、将来の臨床の仕事に役立てていくことを目指しています。
この研究室では,心理的アセスメントを中心に学びます。心理的アセスメントには,観察法?面接法?心理検査法がありますが,本研究室で主に扱うのは心理検査法です。心理的アセスメントの概要を学んだのち,各自が興味ある心理検査についてまとめ,発表し,その心理検査を全員で施行し,解釈をおこない,自己理解を深めます。このようにして心理検査について学び,また自分について主体的に考える視点を養います。
この研究室では、犯罪者や非行少年がなぜ犯罪をするのか、立ち直りには何が必要か、主に臨床心理学的観点から考えます。また、彼?彼女らを社会から疎外し、社会復帰を阻害する社会的要因についても考えます。犯罪は個人が犯すものでありながら社会情勢が色濃く反映されている場合が少なくないので、心理学的観点と社会学的観点の双方に重きを置きます。指導教員は法務省の法務技官(矯正心理専門職)として少年鑑別所や刑務所に勤務していた経験を活かし、指導にあたっています。
この研究室では、臨床神経心理学の研究を行います。臨床神経心理学とは、小児から高齢者まで、脳の機能をベースとした疾患?障害にかかわる対象者に対し、神経心理学をベースとした心理学諸領域の理論に基づいて、神経心理学的アセスメント、認知リハビリテーション、当事者?ご家族への心理学的介入など様々な形の臨床実践を研究する学問です。心理教育相談室や地域と連携して実践的な研究を行います。
この研究室では主に分析心理学的な視点からこころを理解する研究を行います。物事は、多義的な意味を持つイメージ(象徴表現)としてとらえることで日常的な視点からは見えない可能性が見えてきます。夢や箱庭などのイメージ表現や、心理療法場面における語りや遊びなどの臨床素材、または直接臨床場面に関わらなくてもこころの理解につながるさまざまな事象について検討します。
この研究室では、発達障害のある人々とそのリスクのある人々の生活にかかる支援研究を、主に応用行動分析学の哲学と方法に基づきながら進めていきます。障害特性を念頭におきつつ、行動問題を環境との相互作用という観点から具体的に捉え直し、評価する方法を身につけます。また、その行動問題に対処し、予防するための諸条件について検討を行います。障害のある個人だけではなく、その家族や支援者等を対象とした地域支援もテーマの1つです。