教育研究上の目的と3つのポリシー

教育研究上の目的
専修大学法科大学院は、教育理念として「議論による問題解決能力」の修得を掲げています。それは、あらゆる未知の問題への対処が要請される法律実務において、この「議論による問題解決能力」こそが実務法曹にとって最も必要な資質?能力であり、法曹は議論による問題解決者といえるからです。このことから、「法律学の最も基本的な理論及び知識を徹底して教育すること、並びに基礎的理論及び知識による立論?反論をなし得る能力を修得させること」、すなわち、議論による問題解決能力を修得させることを目的として、カリキュラムを編成し教育を行っています。
ディプロマ?ポリシー(卒業認定?学位授与の方針)
専修大学法科大学院は、専修大学共通の教育目標である「社会知性の開発」のもと、実務法曹にとって最も必要な資質?能力である「議論による問題解決能力」を修得していることを、修了認定の基本としています。具体的には、共通言語である「法律学の基礎理論」を元に、反論も踏まえた上で、具体的事例?問題にそれを適用し展開?発展させる能力が一定レベルに達していることを、基準としています。
カリキュラム?ポリシー(教育課程編成?実施の方針)
1 教育理念 専修大学法科大学院は、教育理念として、「議論による問題解決能力」を修得させることを掲げています。
「議論」とは、言語使用能力を有する二者が、主張とその論拠を提示し、相互に反論と再反論とを繰り返すことにより、その限りで、いかに異なった価値観を有する者の間であっても、共通言語を通じて共有する世界を構築できる、という考え方を意味しています。「問題」とは、「現にある状態」と「あるべき状態」との差(ギャップ)が意識された状況を言い、したがって、このギャップに気付くことが「問題発見」であり、それを解消することが「問題解決」です。あらゆる未知の問題への対処を要請される法律実務において、この議論による問題解決能力こそが、実務法曹にとって最も必要な資質?能力である、と考えています。
そこで、「法律学の最も基本的な理論及び知識を徹底して教育すること並びに基礎的理論及び知識による立論?反論をなし得る能力を修得させること」、すなわち、議論による問題解決能力を修得させることを目的として、カリキュラムを編成しています。

2 カリキュラム編成方針 専修大学法科大学院は、教育理念として、「議論による問題解決能力」を修得させることを掲げたうえで、「社会生活上の医師」とも言うべき市民生活に根ざした法曹や、強い責任感を持ちビジネスの先端的?国際的分野でも活躍できる優れた法律家を養成することを目指しています。
このことから、本法科大学院は、カリキュラム作成にあたり、以下のような編成方針で臨んでいます。

ア 1年次に、法律基本科目のうち憲法?民法?商法?刑法?民事訴訟法?刑事訴訟法の6科目につき、その議論の前提となる共通言語(法律学の基礎理論)を徹底的に修 得させ、2年次に、その基礎理論の具体的事例への適用、3年次に、反論を踏まえた上で、具体的事例?問題に即して議論を展開?発展させる能力を修得できるような講義内容としています。

イ  少人数教育
 教育理念である議論による問題解決能力の修得を目的として、法律学の最も基本的な理論及び知識を徹底して教育するとともに、双方向かつ多方向の授業及び課題に対する講評?添削等を十分に実施するため、演習科目の各クラス編成をほぼ20人以下としています。

ウ  研究者教員及び実務家教員の適切な配置
 基本的な理論?知識及びそれらの適用力?応用力(具体的事例への適用、実務への応用)を修得させるために、研究者教員及び実務家教員のバランスを図り、その年齢構成及び専門領域が多岐に亘るように構成しています。

エ  実務との接触
 法科大学院棟に法律事務所があること及びエクスターンシップの受け入れ先も十分にあることから、クリニック?エクスターンシップ等の法律実務基礎科目を確実に実施できる体制を整えています。また、法科大学院棟内に法廷教室があり?学生が自らの企画と工夫を取り入れた模擬裁判を実施しています。

オ  多様な展開?先端科目の配置
 2?3年次において、多様な専門分野(民事、刑事、企業法務、知的財産法務、渉外法務、コミュニティサービス関係等)に対応した多くの展開?先端科目を配置し、学生自らの問題意識に合わせて、選択履修できるようにしています。
アドミッション?ポリシー(入学者受入れの方針)
 専修大学法科大学院は、「議論による問題解決能力」を有する法曹の養成を目的としています。法律家に最も必要とされる資質が、議論による問題解決能力であると考えているからです。議論による問題解決能力とは、共通言語である法律学の基礎理論に基づき、相互に、主張、反論、再反論を繰り返すことによって、いかに異なった価値観を有する者の間であっても、その共通言語を通じて共有する世界を構築できる能力のことです。したがって、入学者選抜に際しては、「公平性?開放性?多様性の原則」を遵守したうえで、社会の多様な層から、意欲をもって、基礎理論の修得及びそれに基づく議論を展開することができる人材を求めています。
アセスメントプラン
 本法科大学院は、ディプロマ?ポリシー(学位授与方針)による学修成果として、社会知性の開発のもと「議論による問題解決能力」の修得を掲げている。この「議論による問題解決能力」は、法廷弁論における弁護士の訴訟活動等に求められることが顕著であり、その他法曹の幅広い活動においても、まず第1に求められるものである。そうした能力は、2つのマインド(法曹としての使命?責任の自覚、法曹倫理)を前提とし、7つのスキル(問題解決能力、法的知識-基礎的法的知識?専門的法的知識?法情報調査、事実調査?事実認定能力、法的分析?推論能力、創造的?批判的検討能力、法的議論?表現?説得能力、コミュニケーション能力)とほぼ一致するものと考えている。
 これらについて、以下の①において学修成果を評価する。
 また、②において、三つの方針に対応した「大学レベル」「学位プログラムレベル」「授業科目レベル」でのチェック項目を設定し、専門職学位課程教育全体の実施状況を点検?評価する。

①学修成果の評価
アセスメント項目
学修成果の評価方法
法曹としての使命?責任の自覚
[点検?評価の目的]
 法曹としての使命および役割を理解し、いわゆる「社会生活上の医師」として法曹に必要な責任感であるマインドを、志望する法曹像に相応しい形で身に付けていること。
[達成すべき水準]
 法曹として職務上遵守すべき使命や役割を理解し、法曹が着実に身に付けるべきそれらのマインドの意義や内容等について、自覚的に説明することができる。
[評価方法]
?カリキュラム上、これらの能力に対応する授業科目の成績評価(定期試験に加え、小テストやレポート課題、質疑応答等のソクラティック?メソッド、判例等を用いたケース?メソッド、授業評価アンケート、クラス担任の面談、学習支援への参加等を含む。以下、同じ)
法曹倫理[点検?評価の目的]
 法曹倫理を育成するための科目の単位を適切に修得し、その使命や責任を果たすため修得した技能を活用できること。
[達成すべき水準]
 法曹として職務上遵守すべき義務や倫理を理解し、それらのマインドの意義や内容等について説得的に説明することができる。
[評価方法]
?カリキュラム上、これらの能力に対応する授業科目の成績評価
問題解決能力[点検?評価の目的]
 社会知性の開発という本学の理念のもと、学修課程において修得した法的な知識や技能を活用して批判的?論理的に思考し、社会の法的問題の解決に繋がる能力を有すること。
[達成すべき水準]
 法曹としての知識体系を基盤とした批判的?論理的な思考方法を用いて適切な議論を行い、グローバルな視点を含め創造的に社会の諸課題に対する法的な解決に取り組むことができる。
[評価方法]
?カリキュラム上、これらの能力に対応する授業科目の成績評価
法的知識-基礎的法的知識?専門的法的知識?法情報調査[点検?評価の目的]
 具体的に法的知識として、基礎的法的知識?専門的法的知識?法情報調査専門的および一般的な知識を、適切なバランスで修得していること。
[達成すべき水準]
 法的知識のうち、基礎的法的知識?専門的法的知識?法情報調査専門分野における基本的な情報を専門的な知識体系として理解するとともに、そうした専門の外側に広がる多様な情報を一般的知識として幅広く理解し、それらを多角的に説明することができる。
[評価方法]
?カリキュラム上、これらの能力に対応する授業科目の成績評価
事実調査?事実認定能力[点検?評価の目的]
 法曹としての事実調査?事実認定能力を育成するための科目の単位を修得し、一定の水準でこれらの技能を活用できること。
[達成すべき水準]
 事実調査?事実認定能力として、法律家として事実認定の仕組みや、そのために必要な情報?証拠等の収集能力、データリテラシー等を身につけ、それらを十分に活用することができる。
[評価方法]
?カリキュラム上、これらの能力に対応する授業科目の成績評価
法的分析?推論能力[点検?評価の目的]
 学修課程において修得した法的知識や技能を活用して批判的?論理的に思考し、法的分析の観点から適切に推論する能力を有すること。
[達成すべき水準]
 法曹として修得した多様な知識体系を基盤とした思考方法を用いて、十分な法的分析とともに、法的な推論を行うことができる。
[評価方法]
?カリキュラム上、これらの能力に対応する授業科目の成績評価
創造的?批判的検討能力[点検?評価の目的]
 学修経験を通じて、法曹としての創造力?批判的検討能力が身に付いていること。
[達成すべき水準]
 「社会生活上の医師」としての法曹の役割を理解した上で、法曹としての人間理解や倫理観を基礎にして、現在の法制度と実務について、立法論や新判例の創造を含め批判的に検討をするとともに、創造的ないし発展的に検討することができる。
[評価方法]
?カリキュラム上、これらの能力に対応する授業科目の成績評価
法的議論?表現?説得能力[点検?評価の目的]
 学修課程において修得した法的な知識や技能を活用して批判的?論理的に思考し、法的な議論を展開するとともに、それを第三者に表現する能力、説得する能力を有すること。
[達成すべき水準]
 法的な知識体系を基盤とした思考方法を用いて、法的議論をする能力?法文書作成等の表現能力?説得能力により法的な諸課題の解決に取り組むことができる。
[評価方法]
?カリキュラム上、これらの能力に対応する授業科目の成績評価
コミュニケーション能力[点検?評価の目的]
 法曹としての適切なコミュニケーション能力を育成するための科目の単位を修得し、一定の水準でこれらの技能を活用できること。
[達成すべき水準]
 法曹としてのコミュニケーション能力として、カウンセリングや面接?交渉等の高度な能力等を身につけ、法的な問題解決のためそれらを活用することができる。
[評価方法]
?カリキュラム上、これらの能力に対応する授業科目の成績評価
②三つの方針のチェック項目
レベルAP(入学時)
CP(在学中)
DP(卒業時)
大学[点検?評価の目的]
全学APに掲げる能力を有する人材を確保できているか。
[評価方法]
?入学試験制度ごとのアセスメントテストの分析
?入学後の学修成果
[点検?評価の目的]
全学DPを達成するためのカリキュラム編成ができているか。
[評価方法]
?大学DPと各教育課程と教育目標との一貫性
?教育課程ごとの科目開講?履修状況
[点検?評価の目的]
社会に必要とされる人材を、大学での成長実感を持って養成できているか。
[評価方法]
?就職状況
?進学状況
?学位授与状況
?留年率、休学率、退学率
?卒業生?修了生アンケート
学位プログラム[点検?評価の目的]
法科大学院APに掲げる能力を有する人材を確保できているか。
[評価方法]
?入学試験の内容
?合否判定
?到達度確認テストの分析
?パーソナルデータ(志望理由書)
?入学後の学修成果
[点検?評価の目的]
法科大学院DPを達成するためのカリキュラム編成ができているか。
[評価方法]
?履修状況
?科目配置の状況(履修モデル)
?クラス面談を通じた学修進捗度確認
?共通的な到達目標モデル(第二次案修正案)の対応
?在学生支援プログラム(正課授業と連動した課外指導)
[点検?評価の目的]
教育研究上の目的に掲げる人材を、大学での成長実感を持って育成できているか。
 [評価方法]
?GPAの分布
?修得単位の状況
?司法試験合格状況
?修了生支援プログラム(司法試験に対応した課外指導)
?修了生アンケート
授業科目[点検?評価の目的]
授業科目を履修する上で必要な最低限の学力が備わっているか。
[評価の方法]
?入学前教育の実施
?入学前の授業見学
[点検?評価の目的]
学位プログラムが想定する到達目標、授業実施方法および成績評価方法が適切に実施されているか。
[評価の方法]
?シラバスの内容
?授業評価アンケート
?評価項目別成績内訳表
[点検?評価の目的]
授業の実施状況(難易度、学修時間、教授方法など)は適切か。
[評価の方法]
?成績分布
?授業評価アンケート
?評価項目別成績内訳表


教育課程を履修する上で求められる学識及び能力
(1)法科大学院入学後の学修に当たって求められる学識?能力  
 「議論による問題解決能力」を有する法曹として、共通言語である法律学の基礎理論の修得を前提に、相互に主張、反論、再反論を繰り返すことによって基礎理論に基づく議論を展開できるようになること。  

(2)1年次が終了する段階で身に付けておく必要がある程度
 法律基本科目である、憲法、民法、刑法、商法(会社法)、民事訴訟法、刑事訴訟法についての条文や判例等の基礎的な知識。2年次以降に法学既修者と合流し、様々な科目を履修するに当たって前提となる法理論を身に付けること。  

(3)2年次が終了する段階で身に付けておく必要がある程度
 法曹になるために必要な行政法の基本的知識のほか、応用的な事例演習や判例分析、展開?先端科目等の履修を通じ、1年次又は法学部で修得した知識を実践的に活用するための裁判実務等の在り方を具体的に分析し、的確に議論することができる能力を身に付けること。

 (4)法科大学院を修了する段階で身に付けておく必要がある程度
 実務法曹にとって最も必要な資質?能力である「議論による問題解決能力」を修得していることであり、具体的には、共通言語である「法律学の基礎理論」を元に、反論も踏まえた上で、具体的事例?問題にそれを適用し展開?発展させる能力が一定レベルに達していること。