雪梅芳譚犬の草紙

 馬琴の名作『南総里見八犬伝』はその長編ゆえにいくつもの抄録合巻ものが出回った。本書は衒学的な馬琴の『八犬伝』を大衆向けに平仮名中心に記したもの。物語は対管領戦までの抄録に終わるが、二世種彦(笠亭仙果)(1806-1868) 一人によって書かれ、役者絵に秀でた三代歌川豊国(二代国貞)(1826-1880)の挿絵が好評だった。豊国(国貞)は、本書の登場人物を役者似顔絵で、シリーズもの『八犬伝犬の草紙』(五十枚)も描いている。